第六章 飛翔せしもの

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「誰が、最強サイアクよっっ!」 「あれ? お前ついに心の声が聞こえるようになったのか。恐るべし上杉愛氣」 「あのね。しっかり口に出して言ってるんだから聞こえるに決まってるでしょ」 「そうか。俺としたことが……あっ!」 「今度はなによ」 「学校」 「行くわよ」 「いや、そーじゃなくて」 「だからなによ」 「だから、もう、走らないと遅刻するって!」 「はあ?」 「はあ? じゃねぇーよ! だってもうホームルームが……」 「何言ってんのまだ八時十五分だけど」 「そうだよ! もう八時十五……え?」  あれから時間が止まったまま。  ついに愛氣は時をかける少女に……。  ……いや違う……。  遅刻防止に十五分早く目覚まし時計を進ませていたのを忘れてた……。  トホホ……。 「大丈夫? そんなに痛かった? あたしの三教。結構手加減したつもりだったんだけどなぁ」  愛氣が、俺の右手を両手で包むように持った。 「あたしだって氣療出来るのよ。亜美姉ほどじゃないけど……」  通学途中の何人かの他の生徒達が、俺達をなんか不思議そうな目で見て通り過ぎて行く。  そりゃそうだろう。   
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