第六章 飛翔せしもの

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 朝っぱらから手首捻りあげたと思ったら今度は、優しく包んだりしてるんだからさ。  ある意味飴とムチ。  ある意味ツンデレ。  それはちょっと違うか。  俺もちょっとハズい……。  でも、だんだん愛氣に包まれた右手があったかくなって来た。  愛氣……。  俺はじっと愛氣を見つめた。  変な夢を見たせいだろうか。  愛氣が元気にそこにいることが、なんだか不思議な気がした。  でも、一ヶ月後には武道交流稽古と言う名の宍戸兄弟との『対決』が実際に行われるんだ。  まさか正夢じゃないだろうな。 「直人?」 「え?」 「まだ痛む?」 「うん。少し肘んところが」  すると今度は肘のあたりを優しく触ってくれた。  こうゆーとこちょっと不器用だけど基本的に優しくてイイ子なんだよな。 「あ、そうだ!」 「なに?」 「おじいちゃんが今日学校終わったらそのまま道場来なさいって」 「え? 今日は柔道の授業無いから道衣、(うち)だけど」 「でも今日は制服のままでイイからって」  確かに今日は月曜日だから、一般の稽古は無い日だ。  だけど、俺と愛氣は開いてる道場で自主練を良くしている。   
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