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その時でも稽古する時はちゃんと愛氣は袴まで穿いてするんだけどな。
そのままでイイなんてなんだろう?
「そっか。分かった……あと……」
「え?」
「なんか、その……当たってる。」
視線を落とす俺。
その視線を追う愛氣。
俺の手の甲のあたりが丁度愛氣の胸のあたりに……。
こういう時って言わなきゃイイのかも知んないけど。
なんか黙ってるほうが逆に罪な気がして……。
に、しても。
「愛氣って意外と『ある』んだな」
しまった!
また、心の声を現実に……。
どーも、まだ頭がちゃんと起きてないな。
朝ご飯、食べなかったからか?
「…………」
とかなんとか思ってる間に、愛氣の顔が紅に染まって来たぞ……。
「バカッ!」
《ギュッ!》
「――!!」
今度は愛氣が俺の腕を四教にきめた。
「ゥイッテェッー!」
思わずその場に座り込む俺。
「ちょっと愛……」
俺を振り返ることもなく愛氣は先に行ってしまった。
俺は慌てて愛氣の後を追いかけた。
「ゴ、ゴメン。悪かったって。意外にとか言ったのは謝るから」
キッと振り返る愛氣。
「もぉ~! そこじゃないんだからっ!」
「え?」
「直人ってば、そーゆーとこホントッ、デリカシー無いんだからっっ!」
愛氣は再び前を向くと更に足を速めて先に校門を潜り昇降口に入って行ってしまった。
ホント脚速いんだよな。あいつは。
それよか、俺なんかヤバいこと言ったか?
…………。
言ったか……。
《キーンコーンカーンコーン……》
「あっ! ヤベッ!」
もたもたしてる間についに八時二五分の予鈴がなり響いた。
俺は慌てて校門を潜った。
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