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「ちょっと直人! 急にこっちに倒れて来ないでよっ!」
「んなこと言ったって。俺だって好きで倒れてんじゃないんだから」
「ほら、しっかり立つ」
「ホッホッホッ。どうじゃ。なかなかしんどいじゃろ」
「はい。意外と立ってられないもんなんですね」
「直人だけでしょ」
確かに三人の中では俺だけカッコ悪いことになってるけど。
虎蔵じいさんと愛氣に比べられてもねぇ。
しかし、ふたりとも良く平気で立ってられるよな。
「まあ、今度倒れたら、愛氣のその柔らかくて意外とある胸で……」
愛氣の顔がまた紅に染まって……。
「それ以上言ったら、二教の刑」
「はいはい。すいませんでし……」
《ガッタンッ!》
俺がまたいい加減に返事をしようとした時、いきなり電車が急に揺れた!
咄嗟に上のつり革に掴まろうとするが間に合わない!
また愛氣のほうに倒れそうになる。
しかも今度は右腕を上に上げたままだ。
このままだと愛氣の頭に俺の右手が……。
当たるっ!
「よけろっ!」
愛氣もまさか俺がそんな風に倒れて来るとは思わなかったのか、避けようとしない。
それどころか、よろける俺に向かって来たじゃんか!
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