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地方から出て来た人が良く、渋谷では毎日お祭りがあるのかと驚いたって言うけど、確かにうなずけるよな。
「さてと。まずはワシがやるから、ふたりとも他の人達の邪魔にならんようにしっかりと見ておくのじゃぞ」
見ておくのじゃぞって何を?
「――!?」
とかなんとか考えているうちに虎蔵じいさんの姿が目の前から消えてしまった!
「あれっ! 先生が――」
「前、交差点の人混みの中」
愛氣がじっと前を見たままボソリと言った。
ホントだ。
いつの間にか青になった交差点を虎蔵じいさんが渡っていた。
それも物凄い速さで……。
普通に歩いてもぶつかりそうな人混みの中を行く、和服を着て草鞋を履いた白髪のじいさんがスムーズなのなんのって。
「良く見ておいたほうがいいわよ。おじいちゃんこ~ゆ~の二回はやらないから」
「うん」
言われなくても目が釘付けだよ。
「あ!」
愛氣に言われた通りに更にその姿を良く見てみた俺はあることに気がついた。
虎蔵じいさんはただ歩いてるんじゃない。
細かい動きの中にも入り身や転換と言った合氣道の動きを使って、動いてるんだ!
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