第六章 飛翔せしもの

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 兄ちゃん?  そうか。  なんか雰囲気が似てると思ったらこいつら兄弟だったのか。  と言うことはこの『兄ちゃん』は高校生。  宍戸が投げられるのも少しは頷ける。 「へぇ~。こいつがあの合氣道のねぇ」 「だったらなによ?」 「愛氣、わたしは大丈夫だから」  近づいて来て愛氣をなだめる亜美さん。 「でも……」 「あれ? 誰かと思ったら清水じゃん」 「あなた誰だっけ?」 「ああ、ど~も、初めまして。って、オイッ! 同じ学校、同じクラスの宍戸行長(ゆきなが)っ!」 「知らないけど」 「んなわけねぇだろ。創倫館高校のスター選手である俺を知らないわけあるかっての」 「そうなの。わたし、柔道興味ないし」 「興味ないしって……。それに一回告ってんだろ」 「え! 亜美姉が?」 「違うわよ。前に、強引に付き合えって言われたからフッてあげたのよ」 「あ! やっぱ覚えてたんじゃねぇか!」 「兄ちゃん、フラれたんだ……」 「あ~あ。せっかくシカトしてたのにぃ~」 「清水、てめぇ~。なにサラッと毒吐いてんだヨ」 「コラ、行長。健康体操、いや健康合氣道倶楽部のみなさんが迷惑してるだろうが」  顧問の鮫嶋が見かねてやって来た。
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