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残された紗千は思わずにやけてしまう。
莉子も玲もしっかり者だし優しいのは紗千が一番よく知っている。
そんな2人がくっついてくれたらどんなに嬉しいことだろう。
―もしかしたら近々、新たな展開あるかも?
なんて思っちゃったりして。
そんな空想をしていると突然、声をかけられて現実に戻る。
「何にやにやしてるの?紗千のエッチ!」
ハッと顔を上げたら目の前にいたのは恒貴だった。
どうやら迎えに来てくれたみたいだ。
「変なこと言わないでよ」
「じゃあ何を考えてたの?」
「あのね、莉子が安良城くんのこと好きみたいで今日は2人で勉強するんだってさ!上手く行ってくれるといいなぁ~なんて」
「ふーん。でも紗千に人のこと心配してる余裕あるの?」
「えっ、なんで?」
「オレも早く次の展開に進みたいんだけどな~」
そう言われて紗千の顔は火がついたように真っ赤に染まった。
*
「わー凄い!」
彼女たちの目の前には見渡す限りネモフィラの青が広がっていた。
青い空と相まって一面、青の世界だ。
紗千と恒貴は連休を利用してネモフィラで有名な自然公園へやってきた。
というのも紗千が一度来てみたいと言っていたからだ。
正直、花に興味なんてあんまりなかったけどそれで喜んでもらえるならお安い御用だ。
「綺麗だね!!」
「うん」
キラキラした彼女の笑顔を見て恒貴は素直に来てよかったと思った。
さすがに有名な公園なだけあって混雑していたが、それはそれで手を繋ぐいい口実になったから悪くない。
まぁ、そうじゃなくても手は繋ぐけど。
「来てよかったー!一緒に来てくれてありがと!!」
「紗千に喜んでもらえてよかった」
2人は自然の中を散歩しながらゆったりとした時間を過ごした。
凄く疲れたけど案外悪くない休日かもしれない。
帰りの電車に揺られながら話していた2人だが、心地良い揺れが眠りに誘っていく。
そして先に眠りに囚われたのは紗千だった。
いっぱい歩いて疲れたのだろう。
目を閉じ、こっくり、こっくりと首を揺らしている。
―紗千、寝ちゃった…。
時折、ハッと目を覚ますのだがすぐにまた睡魔に負けてしまう。
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