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引き取ったのは、隣村の仕立て屋だった。以来少女はただの一度も、実の家族とは顔を合わせていない。
一言も故郷への思いを口にしたことがないかの少女は、その代わりよく空を見た。思えばレーテがよく空を見上げて熟考するようになったのも彼女と知り合ってからかもしれない。
「―――」
僕は空を見上げる。
無邪気な子供が、星色絵の具を撒き散らしたような空。隣の村から見ても同じ景色が見えるのだろうか。そんなことを思う。
「……流れ星に願いごとをすると、叶うらしいね」
呟くと、鼻で笑うような声が聞こえた。
「何を馬鹿なことを」
「そうでもないよ? 大体昔からの言い伝えって何気に根拠があったりするデショ。実は本当に、流れ星にはそんな力があるかもしれない」
「あらそう。いいわ、その説を考えに入れても。そのほうが願ったり叶ったりだわよ、星が抱える力の問題としては――」
うふふふふ、とレーテ女史は笑った。獲物を捕らえようとする山姥だな、と僕は思った。そんなことを口にすれば、山姥の包丁の餌食になるのは僕だけども。
「――あの星の数! 全部集めたらどれくらいの力量になるのかしらね?」
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