第一夜 子どもたちが屠殺ごっこをした話

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 気が付くと目の前に苦悶にゆがむ女の子の顔があった。  くりくりとした小さな可愛らしい瞳は、ただただ驚きに見開かれている。  血色を失い見る見る青白くなっていく顔。  ぱくぱくと新鮮な空気を求めて開閉する真っ赤な唇からは、何の声も発せられない。  ぼこぼこと信じられないほど鮮やかな色の血の混じった気泡が溢れてくるだけ。 それでも彼女の表情から察するにまるで私に問いかけているようだ。 「なんで? どうして?」  ぽすっ、と軽い音を立てて彼女がわら束の中に倒れ込む。  ぴくりとも動かない死体を眺めていた、生気の全く感じられない無機質な六つの瞳。  それらが一斉に私にそそがれたので、思わずたじろいでしまい一歩下がった。  全身の汗腺が開きじわりと冷たい汗が噴き出てくるのを感じた。  やたらと汗ばむ右手を見て、ようやく自分が何かを固く握りしめていることに気付く。    甲高い悲鳴を上げてそれを放りだした。  ぬるぬるとした少女の血に塗れたナイフを。
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