アオイトリ

3/58
前へ
/58ページ
次へ
「よっちゃん……会いたい……会いたいよ……一回でいいから……夢の中でもいいから会いに来て……」 窓の向こうの雨空を見上げ、彼女は願いをかけて頬を濡らす。 「俺はここにおるよ。ずっとそばにおるねんで」 もう何度同じことを言っただろう。 声が枯れるほど叫んでも、耳元で囁いても、俺の声が彼女に届くことはない。 流れる涙を拭いたくても、壊れるほど抱きしめたくても、彼女に触れることさえできない。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

258人が本棚に入れています
本棚に追加