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ほんの一瞬の出来事で、まさか自分が死んだとは思いもしなかった。
気がつくと、俺は地面に倒れる血まみれの自分と、そんな俺にしがみついて泣き叫ぶ彼女をぼんやりと眺めていた。
「あおい……どないしたん?」
俄かには信じられなくて、後ろから彼女に声をかけ、肩に触れようとしたけど、俺の手は彼女の体をすり抜けた。
雨が降っているのに、俺は濡れてもいない。
その時、すべてを悟った。
ああ、俺は事故に遭って死んだんやなって。
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