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大晦日━。現在、時刻は午後8時57分。
番組は、11時までの生放送である。
ここで、アシスタントの女子アナが言った。
「9時から15分間、報道フロアからニュースをお伝え致します。『笑王戦』は9時15分からの再開です。チャンネルは、そのまま━」
CMに切り替わる。
「はい、それでは15分間、休憩となりまーす!皆さん、9時13分にはスタジオに戻ってきてください!」
スタジオに、ディレクターの声が響き渡った。出演者、審査員、観客が一旦、解散する━。
さあ、楽屋に戻ってネタを練る。麻実の頭にあるのは以前、劇場でやってウケた「プラネタリウム」ネタ。
麻実演じるプラネタリウムの館内ナレーターに、かなえとゆのっちが扮するカップルが絡む、というもの。
これを書き直して、自分とかなえの2人コントにする。
ネタ順が3番目になったことで、自分たちの出番はおそらく10時過ぎ。1時間以上ある。
書き直しに20分、合わせに30分━。
いける…!
「さあ、行くわよ」
かなえと連れ立って楽屋に向かう麻実。と、そこへ━。
「ちょっと待ってや」
後ろから呼び止められた。
振り返ると、そこには修助が━。
「あ、修助さん。先ほどはありがとうございました。3番目にして頂いて━。本当に助かります。ありがとうございます!」
麻実が言って、二人は深々と頭を下げた。
「そんなに助かったか?」
ニンマリとしながら、修助が尋ねてくる。
「はい、本当に━」
修助は満足そうに頷く。そして━。
「キミ、名前は?」
「福田です」
「下の名前は?」
「麻実ですけど……」
「マミか━。ほなマミ、後で俺の楽屋に来い。あ、お前一人でええで」
え……?
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