2021年(令和3年)12月

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大晦日━。現在、時刻は午後8時57分。 番組は、11時までの生放送である。 ここで、アシスタントの女子アナが言った。 「9時から15分間、報道フロアからニュースをお伝え致します。『笑王戦』は9時15分からの再開です。チャンネルは、そのまま━」 CMに切り替わる。 「はい、それでは15分間、休憩となりまーす!皆さん、9時13分にはスタジオに戻ってきてください!」 スタジオに、ディレクターの声が響き渡った。出演者、審査員、観客が一旦、解散する━。 さあ、楽屋に戻ってネタを練る。麻実の頭にあるのは以前、劇場でやってウケた「プラネタリウム」ネタ。 麻実演じるプラネタリウムの館内ナレーターに、かなえとゆのっちが扮するカップルが絡む、というもの。 これを書き直して、自分とかなえの2人コントにする。 ネタ順が3番目になったことで、自分たちの出番はおそらく10時過ぎ。1時間以上ある。 書き直しに20分、合わせに30分━。 いける…! 「さあ、行くわよ」 かなえと連れ立って楽屋に向かう麻実。と、そこへ━。 「ちょっと待ってや」 後ろから呼び止められた。 振り返ると、そこには修助が━。 「あ、修助さん。先ほどはありがとうございました。3番目にして頂いて━。本当に助かります。ありがとうございます!」 麻実が言って、二人は深々と頭を下げた。 「そんなに助かったか?」 ニンマリとしながら、修助が尋ねてくる。 「はい、本当に━」 修助は満足そうに頷く。そして━。 「キミ、名前は?」 「福田です」 「下の名前は?」 「麻実ですけど……」 「マミか━。ほなマミ、後で俺の楽屋に来い。あ、お前一人でええで」 え……?
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