1218人が本棚に入れています
本棚に追加
麻実は修助の楽屋を出た。そして暗然たる思いで、自分たちの楽屋へ向かう。
修助による、枕営業の強要。
応じるなら、お前たちへの票を取りまとめて、優勝させてやる━。
なんと卑劣で、こちらの足元を見た姑息なやり方か。
あの男、許せない……。
どうする。この事、かなえに話すべきか━。
いや、ダメだ。気の弱いあのコに言ったら、この後のネタどころではなくなる。
もちろん麻実に、このような持ちかけに応じるつもりなど、毛頭ない。
勝つなら、実力で━。
粗大、ミルクキッド。ともに強敵だが、相手にとって不足はない。
修助の卑劣な申し出を断った上で正々堂々と立ち向かい、相手より多く笑いを取る。
そうすれば修助に何を言われようと、他の審査員は自分たちに入れてくれるはず━。
よしッ、とにかくネタを書こう。
麻実は『3時のプリンセス様』と書かれた、自分たちの楽屋のドアを開ける。
中に、かなえはいなかった。
最初のコメントを投稿しよう!