2021年(令和3年)12月

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麻実は修助の楽屋を出た。そして暗然たる思いで、自分たちの楽屋へ向かう。 修助による、枕営業の強要。 応じるなら、お前たちへの票を取りまとめて、優勝させてやる━。 なんと卑劣で、こちらの足元を見た姑息なやり方か。 あの男、許せない……。 どうする。この事、かなえに話すべきか━。 いや、ダメだ。気の弱いあのコに言ったら、この後のネタどころではなくなる。 もちろん麻実に、このような持ちかけに応じるつもりなど、毛頭ない。 勝つなら、実力で━。 粗大、ミルクキッド。ともに強敵だが、相手にとって不足はない。 修助の卑劣な申し出を断った上で正々堂々と立ち向かい、相手より多く笑いを取る。 そうすれば修助に何を言われようと、他の審査員は自分たちに入れてくれるはず━。 よしッ、とにかくネタを書こう。 麻実は『3時のプリンセス様』と書かれた、自分たちの楽屋のドアを開ける。 中に、かなえはいなかった。
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