1999年(平成11年)10月

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2人は、立ったままキスをした。 鮫島の動きがぎこちない。極度の緊張のためだろう、体が硬直している。自然、唇にも力が入っている。 美枝子はそれを優しく開かせ、舌を入れる。鮫島が一瞬、驚きの表情を浮かべた。 絡み合う、舌と舌ー。 美枝子は鮫島の手を取ると、服の上から自分の胸を触らせた。気付いたように、鮫島は美枝子の乳房を揉みしだく。 「服を…脱がせてちょうだい」 唇を離して、美枝子が囁くー。 鮫島は息を荒げながら、美枝子のシャツのボタンに手をかけ、外していく。その手つきは、やはりぎこちない。 鮫島が、ようやく美枝子のシャツを脱がせた。そしてその目が、大きく見開かれる。 透き通るような白い素肌に、真紅のブラジャー。鮫島のみならず、そこにいる男たち全員が、息を飲む。 呆然としている鮫島を横目に、美枝子は自分でスカートを脱ぎ、上下とも、鮮烈な下着姿となったー。 「ねえ、あなたも脱いで…」 鮫島は、慌てて自分の服を脱ぎ、パンツ一枚になる。 美枝子は再び、鮫島に唇を求めた。そして手を背中に回させ、ブラジャーのホックを外させる。 美枝子の乳房が、初めてカメラの前で(あらわ)になったー。 「おお…」 カメラマンが、思わず声を上げた。 決して大きくはないが、形のよい、張りのある乳房である。 乳首も程よい大きさの淡いピンク色で、ツンと上を向いている。 本当にこれが、間もなく還暦を迎える女の体か…。 男たちの視線は、釘付けとなった。 真実も、目をそむけない。大女優・澤村美枝子の一世一代の姿を、瞼に焼きつけるためにー。
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