1999年(平成11年)10月

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美枝子が鮫島を、ベッドに(いざな)うー。 鮫島が覆い被さってくると、美枝子はその下半身に毛布を掛けた。その中でショーツを脱ぎ、鮫島にもパンツを脱がせる。 これで2人を隠すものは、前貼りただ一枚となった。この前貼り、既製品がある訳ではなく、本人かスタッフの手作りによるものである。 美枝子は、自分で用意したビニールシートを貼っている。一方、鮫島はその大きさに切った薄手のソックスを被せ、勃起しても取れないよう、根元をテープで固定していた。 この前貼りをカメラに映り込まないようにする事が、ベッドシーンにおける演者の最大の注意事項である。 2人の絡み合った脚が、毛布からはみ出る。そして鮫島の思慮の足りない動きで、毛布はベッドの下に滑り落ちた。 普通の撮影であれば、ここでカットが入り、毛布を元に戻して再スタートとなるが、これは長回しである。カメラは止まらない。 毛布を失った美枝子は、上半身で鮫島の稚拙な愛撫を受けながら、下半身を鮫島の股間に押し当て、互いの前貼りが映り込むのを防ぐ。その間、淫靡(いんび)な声を上げる事も忘れないー。 「あぁ…、あっ!あぁぁ…」 この声で、鮫島にスイッチが入った。今までのぎこちなさが嘘のように、猛然と美枝子に挑みかかる。 美枝子はこれを、全身で受け止めたー。 鮫島の下半身が、猛りを増す。本人は気付いていないが、前貼りは剥がれる寸前だー。 「焦っちゃだめ…。ゆっくり、やさしく…」 鮫島の耳元で、美枝子が囁く。そして、思う。もう終わらせてあげないと、この人は限界だー。 終了のタイミングも、美枝子は黒岩に任されている。 「そのまま、ゆっくり来て…」 下から美枝子は、鮫島に挿入の演技を促す。いよいよ、クライマックスである。 美枝子の細い両脚に、鮫島の体が割って入る。 「そう。ゆっくり、やさしく…」 ここで美枝子は、鮫島のいきり立つものに手を遣り、そっと触れたー。 鮫島は、まるで結合したような感覚に襲われた。 「あっ、あっ、あぁぁぁぁぁッ!」 美枝子が声を上げながら、激しく腰を突き上げる。そしてー。 「んッ、んッ、んッ、んッー!」 鮫島は堪らず射精した。美枝子にしがみつきながらー。いつの間にか、前貼りは剥がれている。 自分は美枝子の中に入ったのか、それとも…。混沌とする意識の中、精も根も尽き果てた鮫島は、その大きな体を美枝子に預け、奥深くまで沈んだー。
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