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「おそらく犯行は計画的なものではなく、衝動的かつ突発的なものです」
蚊蜻蛉は語りかける━。
「アタシの読んだ筋はこうです━。あの晩、ここで貴女と高井恵理さんが二人でいたところ、高井さんの身に何かが起きた。それは貴女、もしくは学院にとって、決して口外することのできないことだった。そして執務室に戻った貴女のもとを、澤部俊子さんが訪れる。独居房で起きたことを見ていたか、あるいは盗聴していて、そのことで貴女を脅迫しに来たんです。殺害後、澤部さんの部屋に行ったところをみると、彼女は盗聴していたのでしょう。貴女は盗聴器を回収しに、澤部さんの部屋に行ったんです」
黙って聞いていたシスターが、口を開いた。
「おっしゃる通りですわ。本当にお見事。動機も解ってらっしゃるじゃない。澤部に脅迫されたから、殺したんです」
こう言って、薄く笑みを浮かべる━。
「いえ、それだけでは動機が解明されたとは言えません。貴女が澤部さんに、何を脅迫されていたのかが解らなければ……。それはおそらく、高井恵理さんに関することです。あの晩、彼女がこの学院から出ていないことは明らかだ。教えて頂けませんでしょうか。この独居房で、高井さんの身に何が起きたのか━」
「化け物ですよ」
シスターは唐突に言った。
「……?」
「人間の処女ばかりを喰らう化け物が現れて、高井恵理は喰べられたんです」
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