1991年(平成3年)9月

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1987年3月、一人の少女が東京・下目黒の新日本女子プロレス(通称:新女)の門を叩いた。 この少女、名を本田(ほんだ)真須美(ますみ)という。16才、島根県松江市出身━。 通っていた地元の県立高校を中退。上京し憧れの新女のオーディションを受け合格。候補生として寮に入り、道場で練習を積みながら3ヶ月後に行われるプロテストを待つ。 中学生の時、テレビでフラッシュ・ギャルズを見て女子プロレスラーになることを決意。 167cm、48kg━。 プロテストを受ける者の中で、身長は標準的なものであったが、明らかに細い。 格闘技の経験はもちろん無く、中学時代は水泳部。これといった記録も残していない。 そんな真須美であったが、女子プロレスラーになりたいという思いだけは、誰にも負けていないと自負している。 あの華々しく、目映(まばゆ)いスポットライトの当たるリングに自分も立ちたい。 そしていつかトップレスラーになり、チャンピオンベルトを腰に巻く。 こうしてプロテスト合格を目指し、他の候補生とともに道場でのトレーニングに臨んだ真須美であったが、"トレーナー"と称する先輩レスラーによる、想像を絶する地獄のシゴキの日々が待っていた━。
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