2020年(令和2年)7月

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今回、公開された映像の化け物は、全身が灰色の鱗で覆われている。しかしー。 『俺が見たのは、全身真っ黒だった』 生田の記憶が正しければ、今回、京子が射殺した化け物とは別物、という事になる。 化け物は、2匹いたのか…。 あの日、生田は撃つまで銃を見せるなと、京子に言った。18年前、生田と対峙した時に撃たれ、その威力を知っているからだ。あの化け物に、それくらいの知能はある。見れば、口を開けないー。 しかし、たまたま現場に居合わせた皇宮警察官が銃を見せてしまったにもかかわらず、化け物は口を開けた。それで京子は、射殺する事ができたのである。 生田は自分の考え過ぎだったと詫びたが、化け物が2匹いたとすればー。 今回現れた化け物は、銃というものをまったく知らなかった。だから、京子に対して大口を開けて迫ってきたのだ。 水島夏帆の発信機を着けていたのだから、京子が倒した化け物は、7年前、東京ドームに現れた化け物で間違いない。 しかし18年前、昭和記念公園で生田と雛川慶子を襲った化け物とは、別物…。 翌朝、次のニュースが列島を駆け巡り、人々を震撼させたー。 『今日未明、東京・江戸川区の葛西臨海公園に、超常生物とみられる化け物が出現しました。警察によると、たまたま現場に居合わせた女性2人が捕食されたとの事です。捕食されたのは、警視庁築地署少年課に勤務する景山光さん(27)と、友人の女性(29)の2名で、皮肉にも景山さんは、この7月まで警視庁に設置されていた化け物対策チームのリーダーだったという事です。化け物射殺を発表し、安全宣言を出していた警察庁は、今回の事件を受けて、宣言の撤回を検討し…』 化け物の消息は、ようとして知れない。
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