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化け物がジリジリと間合いを詰めてくる。
そしてー。
大口を開け、香緒里の脚めがけ飛び付いてきた。まさに、タックルの動きー。
香緒里は両脚を開いて引き、上体で化け物の頭を抑えつけ、タックルを切る。
構わず化け物は頭を香緒里に押し付け、倒そうとしてきた。物凄い力ー。
すると香緒里は体を右側に反転し、ハゲ頭の後ろに回った。
そして右腕を化け物の首に回し、そのまま締め上げる。渾身の力を込めてー。
「ギーッ!」
化け物は鳴き声を上げ、堪らず地面に突っ伏した。
ここで香緒里は、体を化け物の背に乗せた。両脚を相手の胴体に回し、背後から首を絞めながら右手首を左腕の肘の関節で挟む。裸絞めという技だ。
さらに締め上げながら、上体を後方に反らした。
このまま、首をへし折るー!
化け物は10m近くある胴体をクネクネと激しく動かし、香緒里を振りほどこうとする。しかし香緒里は首に回した右腕と、胴体に絡めた両脚を離さない。離せば喰われる…。
死んでも離してなるものかー。
香緒里は右腕に、さらに力を込める。
すると、化け物の動きが弱まってきたように感じた。明らかに抵抗する力が鈍くなってきている。
さすがの化け物も、ついに弱ってきた。
窒息させるのが先か、あるいは首をへし折るのが先かー。
香緒里が勝利を確信した、その時である。
化け物は締め上げられた首を、香緒里に向けた。そして、ニヤッと笑う。
香緒里の背筋に、戦慄が走った。このおぞましい笑顔…。
寝技の稽古と称して香緒里の体を触る時の、境の表情そのままであった。
そして…。
香緒里の尻に、何かが当たった。
「え、何ー?」
香緒里は首を斜め後ろに向け、背後を確認した。するとー。
化け物が尻尾を回し、その先で香緒里の尻を撫で回していた。
そしてその尻尾は、相手の背中に密着させている香緒里の下腹部に、入り込んでくる。にょろにょろと、卑猥な動きで…。
「あっ、あっ…、あっ!」
香緒里は身悶える。化け物の尻尾はパンツの上から、香緒里のそこを激しく刺激したー。
両腕と両脚の力が、脱けていく。何という快感…。
これはまずいと思いながらも、どうしようもない。
薄れゆく意識の中、香緒里は思う。
こんな事になるなら境にもう少し体を触らせて、免疫をつけておくべきだったー。
そして香緒里の右腕が、化け物から離れる…。
化け物の消息は、ようとして知れない。
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