2013年(平成25年)6月

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観客の入場が済んだ。アリーナ席、スタンド席合わせて、今年も5万人の大観衆である。 そしてPM7:00、テレビ中継開始に合わせて、今年のUND生徒会選挙が始まった。 得票順位発表の前に、まずはヒット曲メドレーのライブである。選抜メンバー30人が、特設ステージで躍動感あふれる歌とダンスを披露する。 センターで、水島夏帆の笑顔がはじける。 そのサイドには一際目立つ、長身の滝沢優奈の姿がある。 生徒会長を争う二人が、目には見えない火花を散らす。得票数にかかわらず、すでに滝沢の勝利が確定している事など、この時の二人は知る由もなかった、と思われる。 そして、その事を知る唯一のメンバー・オザハルは、二人のやや後方にいた。 その時である。 「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」 ステージ裏で、異様な悲鳴があがった。 いまステージに出ている選抜メンバーとは別の、出番待ちをしている一般メンバー70人程の控え室からの叫び声だった。 しかし、巨大スピーカーから大音響で楽曲が流れているため、ステージ上のメンバーも、スタッフも、そして観客も、この悲鳴に気付かない。 ただ一人、オザハルを除いてー。
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