2013年(平成25年)6月

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高原の供述によると、UNDを立ち上げて半年ほど経った頃、音楽著作権評議会という、音楽全般に関する著作権を管理する団体に天下りしていた総務省の元局長という人物が、接触を求めてきたという。 「なんでも、自分の出身母体である総務省の職員にUNDの大ファンがいて、ちょっと話を聞いてやってほしい、との事でした」 今後の事を考え、官僚と懇意にするのも悪くないと考えた高原は、前述の元局長も交えて、赤坂の料亭の一室でこの職員と会った。七三分けに銀縁眼鏡の40台前半の課長で、バリバリのキャリア官僚であった。 最初の10分ほどで元局長が退出すると、顔を赤らめて、課長がこんな事を尋ねてきた。まだ赤くなるほど飲んではいないー。 「あ、あのう、UNDの娘たちって、本当にみんな、その…、しょ、処女なんでしょうか」 思いつめた表情の課長に、高原は諭すように言った。 「医学的に身体検査をした訳ではないので絶対とは言えませんが、親から念書をとっています。入ってからも本人に誓約書を書かせて、男と接触しないよう、我々スタッフが厳重に管理しています。ですので、全員処女と思って頂いて、差し支えありませんよ」 当時のメンバーはまだ10名で、こうした管理が可能だったのだ。 すると課長は泣き出さんばかりの表情となり、髪を振り乱して高原の脇に進み出ると、いきなり土下座をした。 「お、お願いします!メンバーの…、メンバーの娘に会わせてくださいッ!」
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