2013年(平成25年)6月

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「わかりました。スピード感をもってやらせましょう」 高原の申し出に対し、須田官房長官は答えた。 青山の料亭の一室。二人だけの密会である。こうして長官と直接話が出来るのも、官僚を手なづけた賜物であった。 「はッ、ありがとうございます」 高原は深く頭を下げる。 「だいたいこの国は、こうした申請に対して、規制が多すぎる。まさに岩盤規制だ。こうした規制を打ち砕く事は、矢部総理の目指しておられる所でもあります」 須田長官は、総理の側近中の側近でもある。 「ところで高原さん、あなた今回の事で、官僚諸君にずいぶん、いい思いをさせているようですねえ…」 来たー。 「はッ、皆さん、喜んで頂いております。もちろん長官にも、お好きな者をー。本日は、そのリストも持参しております」 「ほう、そうなんですか。しかしなんでも一番上は1000万だとか…」 「もちろん、長官からはそのような金銭、頂きません」 「そうですか…。そうして頂けると、助かります。いかんせん我々国会議員は、官僚と違って、収支を報告する義務がありましてね。自分の買い物に使えるカネは、1銭もない」 「お察し申し上げます」 「今月末に、何か大きなイベントがあるんでしょ?ドームでー」 「はッ、『生徒会選挙』です」 「アイドルにとっても国会議員にとっても、選挙は大事だ…。じゃあ、それが終わってからにしましょう」 「お気遣い、恐縮いたします」 「では、一番上で」 「は?」 「その1000万の娘でお願いします、って事ですよー」
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