2013年(平成25年)6月

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オザハルは急ぎ、小沢プロデューサーに連絡を取ったー。 「おー、オザハルちゃん、退院したんだってね。よかった。え、俺ー?俺はあの後、いろいろあってね。今は北海道の系列局にいるよ」 さすが業界人だけあってノリは軽いが、要は責任を問われて飛ばされたのであろう。 オザハルは、小沢に説明した。死んだ高原が逮捕前日に小沢宛てに打ったメールが間違って自分に来ていた事、自分はそれを今日見た事、そしてそのメールの内容と、高原が小沢に依頼した事ー。 小沢は相槌を入れながらオザハルの長い説明を聞いていたが、話が終わると、神妙な声で言った。 「うーん、やってあげたいけど、俺も今、北海道だしね。それにまた何か問題起こしたら、今度こそクビになっちゃうワケよ…。ちょっとムリかな」 「え、でも…」 「そのメールをどうするかは、オザハルちゃんに任せるよ。でもね、そのメール、ホントに俺に打ったのかな、高原ちゃん…」 「『小沢ちゃんへ』って書いてありますよ」 「確かに彼とは親しくさせてもらってたけど、あくまでも仕事の付き合いで、そんな大事なことを頼まれるような間柄じゃあない。最初からキミに読んでもらいたくて、打ったような気がする。間違いメールを装おってー」 「どういう事ですか?」 「だからね、間違いメールなら、キミは無視したっていい。仮に小沢に連絡してもヤツは断るだろうから、その時点でメールを削除してしまえばいい。つまり、頼みを断ったという負い目は、キミには残らない。間違いメールなんだから、キミが厄介な事に巻き込まれる事もない。それでも、もし、やってくれるなら…、キミにお願いしたいー。そういう事だと思う」
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