2020年(令和2年)12月

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ここで一人の記者が手を挙げるー。 「ステイホームや休業要請も結構ですが、それでは事態の根本的な解決にはなりません。最も重要なのは、女性を化け物に喰われなくする事です。知事は矢部総理や愛知県の大山知事のように、女性にセックスを促す方針は採らないのですか?」 総理の『ヤベノゴム』や大山知事の『セックスしましょう』発言の事を言っているのだ。 百合香は薄く笑いながら答えるー。 「私はそのような事、まったく考えておりません」 「なぜですか?」 追及する記者を、百合香は見つめる。 「でしたら貴方、小学生や中学生の女の子に『セックスしなさい』なんて言えます?」 「……」 「大人の女性に対しても、同じ事です。セックスをするかしないかなんて事は、あくまでも個人の自由ー。都として強要する事はありません」 そんな事を強制されるなんて、絶対にイヤー。 「そんな悠長な事、言ってる場合じゃないだろ」 「どうやって都民を化け物から守るんですか?」 「抜本的な解決策を示せよ!」 会見場は紛糾し、百合香は職員にガードされ退出した。 抜本的な解決策ー。 それはただひとつ。化け物を殺処分する事だ。1匹残らずー。 "セックスの強要"という究極のセクハラから女性を守るには、やはりこれしかない。 そして、国はまったくあてにならない。総理も所詮は男。当事者ではないのだ。 もう、アタシがやるしかないー。 百合香は考えていた策を実行に移すべく、スマホを手に取り、ある人物に電話をかけた。 『はい』 「もしもし、カッキー?小磯です」 『ご無沙汰しております』 「ちょっとお願いしたい事があるのよ。会えないかしら、今晩。極秘でー」 電話の相手は垣沢裕明(かきざわひろあき)。 大手芸能事務所『ジョニーズ事務所』の副社長である。
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