1216人が本棚に入れています
本棚に追加
ここで一人の記者が手を挙げるー。
「ステイホームや休業要請も結構ですが、それでは事態の根本的な解決にはなりません。最も重要なのは、女性を化け物に喰われなくする事です。知事は矢部総理や愛知県の大山知事のように、女性にセックスを促す方針は採らないのですか?」
総理の『ヤベノゴム』や大山知事の『セックスしましょう』発言の事を言っているのだ。
百合香は薄く笑いながら答えるー。
「私はそのような事、まったく考えておりません」
「なぜですか?」
追及する記者を、百合香は見つめる。
「でしたら貴方、小学生や中学生の女の子に『セックスしなさい』なんて言えます?」
「……」
「大人の女性に対しても、同じ事です。セックスをするかしないかなんて事は、あくまでも個人の自由ー。都として強要する事はありません」
そんな事を強制されるなんて、絶対にイヤー。
「そんな悠長な事、言ってる場合じゃないだろ」
「どうやって都民を化け物から守るんですか?」
「抜本的な解決策を示せよ!」
会見場は紛糾し、百合香は職員にガードされ退出した。
抜本的な解決策ー。
それはただひとつ。化け物を殺処分する事だ。1匹残らずー。
"セックスの強要"という究極のセクハラから女性を守るには、やはりこれしかない。
そして、国はまったくあてにならない。総理も所詮は男。当事者ではないのだ。
もう、アタシがやるしかないー。
百合香は考えていた策を実行に移すべく、スマホを手に取り、ある人物に電話をかけた。
『はい』
「もしもし、カッキー?小磯です」
『ご無沙汰しております』
「ちょっとお願いしたい事があるのよ。会えないかしら、今晩。極秘でー」
電話の相手は垣沢裕明。
大手芸能事務所『ジョニーズ事務所』の副社長である。
最初のコメントを投稿しよう!