1984年(昭和59年)8月

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私はいまから、死のうと思います。 でもその前に、私が犯した罪を告白いたしますので、お時間のある方は、どうかお聞きください。 あれはいまから45年前、私が高校2年生だった時分の話でございます。 私はとある地方の山村の出身で、高校を卒業して就職のため東京に出るまで、ずっとそこで暮らしておりました。 人口2000人ほどの、小さな村でございます。子どもたちは小・中学生までは村の学校に通い、高校はほぼ全員が、隣町にある県立の高校に進学いたします。 そのような濃く、長く、閉鎖的な友人関係の中で、涼子(りょうこ)は私にとって一番の親友でした。 小1から、いえ幼稚園の頃からずっと同じクラス。活発で頭が良く、面倒見もいい涼子は、おとなしく思った事をあまり口にする事のできない私を、事あるごとに助けてくれました。 真逆な性格の私たちでしたが、だからこそ互いにぶつかり合う事もなく、固い友情で結ばれていたのだと思います。 「アタシたちは、一生の友だちよ」 常々こう言ってくれる涼子は、私にとって大切で、かけがえのない存在だったのです。 そんな彼女も、男子に対しては奥手でした。いえ、小学生の頃はそんな事はなかったのですが、中学に入り思春期になると、男子の前ではあまり()の自分を出さなくなったように思います。 私の方はというと、最初から男の子と話すのは苦手でした。相手から話しかけられてもモジモジしてしまい、何を言っていいのか分からない、といった有り様だったのです。 そんな私たちでしたが、涼子には密かに思いを寄せる相手がいる事に、私は気づいていました。 その男子がやはり同級生の、栄治(えいじ)でしたー。
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