2002年(平成14年)6月

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「スゲーな、コイツ…。でも、なんでここを襲ってるんだろう」 谷村は、食い入るように化け物を見ている。 この時、慶子の全身に閃光が走った。起死回生ー。 慶子は拳銃をホルダーから抜き、そっとショルダーバッグに入れる。そして、谷村の背中に言ったー。 「谷村さん、そいつの狙いは、私よー。恥ずかしいけど、処女なのよ、私…」 「なに…?」 谷村は慶子を振り返る。 「ねえ、私としてくれない…?」 それは男との経験がない女とは思えぬほどの、妖艶な語り口調であった。 「まだ死にたくないのよ…。お願いー」 すると谷村は、いきなり抱きついてきた。そして、慶子を押し倒すー。 男の強い体臭に、慶子は圧倒されそうになる。 谷村は慶子のスーツパンツを脱がし、ショーツに手をかけたー。 「待ってー」 慶子はバッグの財布を手に取り、そこから5cm四方ほどのビニールケースを取り出して、谷村に渡した。 「コレ、着けてくれない?」 コンドームであったー。 10年ほど前、学生だった頃、友人に誘われて合コンに出席した時、その友人に貰ったものであるー。 「アンタももう、男としないとダメ。けっこうカワイイ顔してるんだし、もっと積極的にならなきゃ。いつお持ち帰りされてもいいように、お財布に入れときなさい、コレー」 結局、使用する機会のないまま、現在に至っている。その後、何度も財布は買い替えているが、コレは何となく捨てられず、歴代の財布の片隅に収まってきたー。 「フッ、用意がいいな。いいだろう」 谷村はベルトを外しズボンとパンツを下ろすと、ビニールケースの一辺を切ってそれを取り出し、そそり立つ自分のものに装着した。 そして慶子のショーツを脱がすと、何の前触れもなく、いきなり挿入させた。 慶子の下半身に、経験した事のない衝撃が走る。熱い鉄の塊を押し付けられているような感覚だ。が、考えていたほどの痛みは、感じられない。 「ハァ、ハァ…」 谷村が声を上げながら、慶子の中で動きを加速させた。慶子は飛びそうになる意識の中、歯を食いしばって必死に耐える。早く終われー! 「うぉぉぉぉっ!」 谷村は慶子にしがみつき、獣の咆哮を上げた。射精である。 いつの間にか、外からの大音響と揺れを伴う衝撃は、収まっていたー。
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