1999年(平成11年)10月

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1才から幼児雑誌の読者モデルとなった朝井真実は、教育テレビの幼児番組出演で、業界の話題をさらった。 愛くるしいパッチリとした目、ハキハキとした口調、物怖じしない人懐っこい性格。CMやバラエティー番組にも引っ張りダコとなる。 天才子役、あらわるー。 そして5才の時、櫛田寿美子(くしだすみこ)脚本、(あずま)ビン子主演の国民的ドラマ『笑う門には鬼がくる』で娘役を熱演、辛口の櫛田、ビン子両名をして「100年に1人の逸材」と言わしめた。 『笑鬼(わらおに)』のレギュラーを3年で卒業後、単発ドラマへの出演を経て、10才の時、ついに主演の座を掴む。野沢伸一(のざわしんいち)脚本のドラマ『名無しの子』である。 児童ポルノを取り扱った問題作で、劇中、真実の発する決めゼリフ『アタシを観るならカネ払え』は話題となり、その年の流行語大賞を受賞した。 可愛らしさだけでなく、シリアスな演技もこなす真実であったが、活躍はこの主演ドラマがピークとなり、その後は徐々に露出が減っていった。 なぜかー。それは真実の母親、トシ子に原因があった。 真実は特定の芸能事務所には所属せず、もっぱら『マミママ』と言われるトシ子がマネージャーとなり、仕事を取ってきた。 そのトシ子が、『名無しの子』の頃から、あるいはその少し以前から、制作サイドに口を挟むようになってきたのである。 「監督は○○にさせろ」「あの役者との共演はNG」「今のプロデューサーをクビにしろ」「ロケの弁当は私の知り合いの業者を使え」等々ー。 これにより、業界内でこんな事が囁かれ始めた。 「真実ちゃんはいいんだけど、あのママがね…」 こうして真実は、芸能界を干されていく。しかし問題はトシ子の存在だけでなく、真実自身にもあったー。 小学校高学年になる頃から、体の発育が子役としての需要を、追い越し始めたのである。
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