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世の中を席巻する、女性アイドルグループがあった。
名を『UND18』(ユーエヌディーエイティーン)という。
メンバーは15歳から18歳の女子限定で、その在籍期間は高等学校のそれと重なる。
毎年3月下旬に中学3年生を対象としたメンバー選抜オーディション『入学試験』が行われ、4月に『入学式』、そして3年後の3月中旬に『卒業式』となる。
つまり、毎年メンバーが入れ替わり、グループの新陳代謝が行われるのだ。
グループの人数は、概ね100人。メンバーはA、B、Cいずれかの『クラス』に所属する。
そして、そのクラス単位で活動し、CDやPVの売り上げ枚数や動画の再生回数などを競い合う。
グループ最大のイベントは、毎年6月下旬に行われる、『生徒会選挙』である。メンバー全員参加のファン投票で、CDやPVを購入すると、そこに投票用紙が添付してあり、購入者は自分の好きなメンバーの名を一人書いて、ネットや郵送で投票する。つまり、多く購入すればするほど、投票権が増える訳だ。
最多得票者は『生徒会長』となり、翌年3月末まで、グループ全体の楽曲でセンターを張る権利が与えられる。
このグループの仕掛人で生みの親、すべてのイベントを取り仕切るのは、高原和哉という音楽プロデューサーである。
80年代にヒットした、あるロックバンドのギタリストだった高原は、バンド解散後、プロデューサーに転身して数多くのヒット曲を手掛けた。
そして年齢が50代になった頃、アイドルグループのプロデュースに乗り出したのである。
高原の独創的な発想は、世間にウケた。UND18は、10代から30代までの男性を中心に爆発的に支持を集め、トップアイドルグループの座を不動のものとした。また、高原が作り出す楽曲は親しみやすく、多くの女性ファンの心も掴んだのである。
こうして、日本を代表するアイドルグループとなったUNDであるが、高原の方針で、このグループには、メンバーを縛る「鉄の掟」があったー。
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