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「何故だ。何故こうなった」
「俺達に好感を持ってくれてるのなんて、あのじいさんくらいじゃないか」
「女子からの好感はいつ貰えるんだ」
「話が違うじゃないか、部長さんよ」
文化祭準備に燃えに燃え、期待と気合を空回りさせていた部員達は、現実を受け止めきれず、部長である僕に掴みかかるように詰め寄った。
時刻は午後2時。文化祭は午後4時で終了なので、もう残された時間はあまり多くない。とはいえ、あと2時間もあれば、女子の一人くらい転がり込む可能性は十分ある。こんなところで図書室の空気を悪くしてはお客も掴み辛い。ここは一つ、僕が部長として皆の指揮を上げるようなことを言うべきだ。
息を吸いながら、できるだけポジティブな言葉を探す。そして肺が一杯になったところで、状況は転じた。
図書室の扉が開く。それだけのことで、部員達の心は一つとなり、俯いていた者も天を仰いでいた者も僕の襟首を掴んでいた者も、一斉に入口へと顔を向けた。
「ちーっす。て、うーわ。男ばっかじゃんよ」
現れたのは、整髪料で髪をテカテカに黒光りさせ、学ランを着崩した男子生徒と、整髪料で髪をクシャクシャに捻じり絡ませ、学ランの下にパーカーを着こんだ男子生徒と、整髪料で髪をツンツンに尖らせ、学ランを着ず腰にカーディガンを巻いている男子生徒の三人組だった。僕らの最も苦手とする人種であることは一目瞭然だった。
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