1章

3/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
美術部とは名ばかりで描くのも遅い上に特段うまいわけでもない私は、一枚目を書き始めることができず文化祭の当日から今日を逆算することばかりに頭を使っていた。 故にトイレ掃除から帰ってきて向かった先の美術室でも頭を悩ましていた。 「どうしようかなぁやっぱりうまくかけなくても色だけは明るいの使うべきかなぁ」 と呟いていると 同じ美術部員の山下くんが声をかけてきた。 「おいおいこれを見てくれよ、これを教室の入口に貼れば商売繁盛、ほかの店は商売あがったりだぜ」 と言って見せてきた絵を見て 「ぶっ、これはちょっと官能的すぎない??なんか変な客釣れそうだよ」 それはガタイのいい男が股の一物をポテトフライで隠しているものだった。しかもご丁寧に赤文字で 「フランクフルトをも凌ぐ最高の旨さ!!」 と書かれている。 「えーいいと思ったのになぁまぁいいや適当にいっぱい書いて1枚でも採用されれば僕の表現欲も満たされるってもんよ」 そういって豪語する山下くんには嫉妬を通り越して呆れるしかなかった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!