1章

5/5
前へ
/5ページ
次へ
或る日の放課後、部室で部長と2人きりになった日があった。他のメンバーがそれぞれのクラスに駆り出されたからである。 少し気になったので「部長、部長のクラスはなにか出し物やるんですか?」 「俺のクラスは演劇だね。レ・ミゼラブルのパロディみたいなやつ俺は興味無いから適当に流してたら照明係になった。玲香ちゃんは?」 「私のクラスはポテトフライの屋台なんでけど宣伝用のポスター任されちゃって、、これもそうなんです書きかけだけど」 そう言うと部長は何故か訝るような目つきで私の拙い絵を見てくる。 「赤の文字が目立ち過ぎているな、、文字を見せたいなら絵はぶっちゃけいらないと思うしうーん」 「やっぱり難しいですかね私には」 「まぁ、芸術作品を書こうとは思わないことだな、クラスの無知なやつが一瞥していいなって思うくらいの適当さでいい」 「でもなんか美術部としての矜持みたいものもありますし、、」 「だったらそれは卒業制作にでもいかしてやるんだな」 部長のアドバイスは少しきついところもあるけど今回に関してはかなり気持ちが軽くなった。 もう適当でいいや。 私は山下くんの馬鹿みたいな絵の山を見ながら 「下品だけど構図はしっかりしてるんだよなぁ」 と心の中で呟いた。 そして、文化祭の当日。玲香のクラスの屋台の上には決して上手いとは言えないが、かわいらしいポップなフライドポテトくんの看板が鎮座していた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加