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#120 帰り道
学校帰り、途中で友達とも別れ、一人で家路を行く。
一人になったからといって急いで帰るのはいただけない、一人道というのも楽しみはあるのだ。
道路の白線の上だけを歩いて行く、家が見えるまではこのルールは守らねばならない。
信号のしましまも白線の内に入るので道を渡れないなんてことも無い。
暑い夏の空気の中、私は夢中で白い道を辿っていた。
ふと、眩しさに目をつむり、光の方を見る。
夕日が町の向こうの方に沈んでいくのが見えた。
「綺麗…」
どうしようか?いや、ルールは守らねばならない。
「ユミ!やっと見つけた!なんでこんなところにいるのよ!」
「お母さ…ひぐっ…白線が…ひぐっ…」
この後で買って貰った真っ白な靴は私の宝物だ。
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