森の本屋と首なし地蔵

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ぼくは山奥にある村に住むことになった。 それはお母さんが妹を産んだことで、そのあと具合が悪くなり体をこわしてしまったことが原因だ。 お父さんはお仕事があるので、ぼくの面倒をみることができないから、お父さんの実家に預けられることになったんだよ。 信じられるかい? そこは見わたすばかり山だらけで、都会には当然あるコンビニばかりか自動販売機すらないんだ。 家だってぽつんぽつんとしかなくて、暗くなると電灯がないから、黒いカーテンを降ろしたみたいに真っ暗になるんだよ。 ないないづくしの田舎で暮らさざるおえないぼくは、ほとほと途方にくれたことは説明するまでもないね。 そのときのぼくは不思議な体験が待っているのを知らない、迷路で出口の標識が読めずに泣いている子どもだった。 「お母さんが退院するまでだから」 面倒をみてくれるお婆ちゃんが田舎なまりで言うけど、ぼくは嫌で嫌でしかたなかった。 お爺ちゃんのトロトロ運転で30分も走ったところにある学校に、ぼくがこじらせている嫌嫌病の原因があった。
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