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「妖怪ってオバケと同じだから、人の言葉をしゃべれるんだね」
オバケや妖怪の話は、お婆ちゃんから聞いていたから知っていた。
お婆ちゃんは怖がらせようと話すけど、ぼくは夢中になって聞くから「やれやれ」と笑われたものさ。
「人間の言葉はお母さんから教わったんだ。でも人と話すのはこれがはじめてだよ」
「ぼくはヒカルだよ。シロはそこで何しているの?」
「森の本屋さんに行くところなんだ」
ヒョイと二本足で立ちながら、シロがさも誇らしげにこたえた。
シロは二本足で立ち上がると、ぼくと同じくらいの背たけになった。シロとぼくは同級生かな。
「本屋さん? ぼくもつれて行ってよ」
学校の図書室に本が少なくて、ぼくは本を読みたくてしかたなかったのさ。
「ヒカルもおいでよ」
シロがぱたぱたと尻尾招きをした。
だけど、ぼくは足を踏みだせないでいた。
お爺ちゃんから「鎮守の森には入るな」と言われていたからだ。
「……怖いの?」
シロが目をまたたいた。
「怖くなんかないよ」
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