花子さん

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『ねえ、知ってるうちの高校出るんだって!』 『トイレの花子さん!!』 何処にでもあるような学校の七不思議。 もちろん、うちの学校にもある。今一番、流行ってるのが『トイレの花子さん』。 「ねぇねぇ、茜は信じる花子さん!」 「どうかなぁー、見たことないしなぁ~。」 あんまり、そういうの信じるタイプでもないし。 「雪菜は、信じてるの?」 「やっぱり、居ては欲しいかなぁ~。見てはみたいじゃん。」 雪菜は、楽しそうに表情を変えながら話していた。 「怖くはないの?」 「いやいや、怖いよ。でもさぁ、見たい方が上かなぁー。」 人は、好奇心に負けるらしい。 「でも、茜は本読むの好きじゃん!オカルト系とか読まないの?」 「読むよ、むしろ大好き!個人的には、本の中だけの妄想でいいかなぁーって感じだよ。」 本の中だけの妄想。 オカルトも、恋愛もそれで十分。 だから、いつも本は欠かさずにもっている。 「もう、茜は冷めてるよねー。」 「違う違う、現実主義なの!雪菜、彼氏と待ち合わせじゃなかったの?」 「あーー、そうだった!!ごめんね、茜先に帰るね!」 さっきまでの『花子さん』の話なんて、すっかり気にも止めずに走り去っていった。 「雪菜は、慌ただしいなぁ~。」 そこが、可愛いんだけどなぁ。 そんなことを思いながら、みんなが『花子さん』の話をしていたせいでその系の本が読みたくなってしまった。 下駄箱に向かっていた足を図書室へと変えた。
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