花子さん

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「男子トイレ…。」 しかし、今聞こえた叫び声の『桜ちゃんと涼くん』っていうのはさっき探してと本の主人公とヒロインの名前。 もし、トイレに誰かがこっそりと持ち込んでいたら問題だし。 ー図書委員としての使命ー 自分に言い聞かせ、廊下の左右を3回ほど確認する。 男子トイレを覗くところなんて誰にも見られる訳にはいかない。 『よし!!』 自分の中で気合いを入れてから、男子トイレの扉ゆっくりと開けた。 「!!」 中には、白くて儚い男子が一人。 読書をして……! 「あ、えっ!ちょ!!!」 驚きのあまり、そのまま扉を閉め背中に壁がぶつかるまで下がってしまっていた。 「う、浮いてた…今の人、う、、うい…。」 言葉がうまくまとまらない。 「あのー、大丈夫?」 あたかも普通のように話しかけてくる、彼はトイレのドアを開けることなく廊下に現れた! 「かべ!!!か……べ!!壁を…。」 「ああ、そういうこたか!」 私の動揺やら、恐怖なんかは、相手に伝わらないらしい。目の前の彼は、人の顔の横に勢いよく手を伸ばしてきた世に言う『壁ドン』と言われるやつだ。 「大丈夫だよ、俺が守ってあげるから!」 「キャアアァァーーー!」 自分の叫び声と共に、目の前が真っ暗になった。
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