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「う…ん…。」
頭が重い気がする。
目を開けると、自分の上に広がっているのは見知った教室の天井だった。
体は、外の空気で暑いのに額だけが、冷たくて気持ちいい。
「気がついてよかった、」
…
……
…………
「ご、ごめんなさい、殺さないでください!食べないでください!!!」
訳のからないこと叫ぶ私を少し透けている彼が制止した。
「だ、大丈夫だから!呪ったりとか、祟ったりとかしないし!もちろん、食べないし殺さない!!出来たら、おどかしたりとかもしたくないくらいなんだから。」
幽霊らしからぬ早口で彼は、しゃべり続けていた。
「本当なら、人に見つからないようにしないといけないんだけど…。」
「だけど…?」
彼は、一呼吸置いてから言葉を続けた。
「…本の続きが読みたくて。」
「は?」
あまりにも、おかしな事を言われたせいで強張っていた体の力が一気に抜けていった。
「少し、聞いてくれる?」
ゆっくりと頷く。
「ありがとう。実は、俺…世間様で言う『トイレの花子さん』ってやつなんだけど。」
「は?」
つい、さっきと同じ反応をしてしまった。
「いやいや、花子さんってテンプレがちゃんとあるんだからね!『女の子』『おかっぱ』『赤いスカート』『女子トイレ』何1つ違うじゃん!」
私の言葉に彼は、面目無いと言いたげな表情を見せていた。
「言いたい事は、最もだと思う。でも、見たことがないだけでトイレの花子さん男バージョンも何人かは存在してるんだよ。人は、そこまで俺たちの事認識できないからさ。」
そうだ。そこだ!
そもそも私には、霊感なんてこれっぽっちもない。心霊番組の心霊だって見つけられないレベルだ。
「認識できないのに、なんで私にはこんなはっきり見えたり聞こえたりするの?」
「あぁ。それは共通霊視ってやつだよ。」
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