NPO日本弱者支援協会

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晶子は恐怖で声が出なかった。その横で田中好子が啜り泣いていた。その時だった。 「何やってんだぁ-お前らぁ!」 男の怒声がした。怒声の主は50歳前後の紳士然とした 好漢だった。その好漢の両サイドに精悍な若者が立っている。好漢の両サイドに立ってい る精悍な若者が5人の暴漢の中に割って入った。割って入ったと思った瞬間だった。 5人の暴漢のうち4人が公園の地面に転がって呻いていた。一人残った暴漢は茫然と立って いる。電光石火!何が勃発したのか?何があったのか?全く感知できない理解できないのだ。 「坊主!真っ昼間から悪やってんじゃねぇ!ここを何所と思ってんだ。  山東連合会の縄張りなんだぞ!分かってんだろうなぁ-」 「す、すんません」 呆然と立っている暴漢が足下から崩れ落ちた。 「こんだ縄張で悪やったら殺すどぉ-。わかったなぁ! 精悍な若者が晶子と好子を端正な 風貌に似合わない荒っぽい言葉を連発する紳士然とした好漢の所に連れて来た。 「お嬢さん!お怪我はありませんか?」 紳士然とした好漢は晶子と好子に微笑した。 「は、はい・・」 晶子は辛うじて返事をしていた。好子は俯いている。 「それは良かったですね。金子!倉田!お嬢さんを、お送りしなさい」 「あのぉ-・・」 晶子は上目づかいに紳士然とした好漢を見た。 「何でしょう?」 紳士然とした好漢はフレンドリ-に微笑していた。 「危ないところを有り難うございました」 「お怪我がなくて何よりでしたね」 「お名前を伺っても・・」 晶子は頭を下げた。 「怪しい者ではありません} 紳士然とした好漢はカ-ドケ-スから名刺を一枚とり出して 晶子に手渡した。晶子と好子は紳士然とした好漢が金子!倉田!と呼んでいた精悍な 若者二人にロ-ドサイド車道までエスコ-トしてもらってタクシ-に乗車した。 やっと一息ほっと安堵した晶子は、先ほど紳士然とした好漢から貰った名刺を見た。 名刺にはNPO日本弱者支援協会-代表-諏訪 純と印刷されていた。   盛夏の陽光が東京湾を照射している。葛西尚人は日本沿岸再開発公団の理事長室の 大きなレザ-クッションのア-ムチェアに座って東京湾の海景色を眺めていた。 長女の晶子と親友の好子が5人の暴漢に輪姦寸前の奇禍に遭遇してから一週間が経って いた。その奇禍を払拭してくれた男性から晶子が貰った名刺を見て葛西は愕然とした。
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