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隣に生えた可愛らしい新芽が朝霧の中で懸命に空を仰ぎ、小さな雫は涙となって零れ落ちる。もしかしたらこれも、私が識っているだけでしかない過去のそのまた一部の出来事に過ぎないのかもしれない。
今ここにもう一人の登場人物を加えよう、その配役を貴方にしてもらいたい。一人の少年がいる、そして彼は記憶を持たないと私は知る、何故って神様だからさ。そこで私は記憶がないとはどういう意味かを考える。記憶や経験がその人の人格を形成するなんて話を耳にする。ならば、その人に性格という概念は内在し得ないのだろうか。でも、これは勝手な想像、何の価値もない閃きであるが、その人の誰に対しても高圧的な態度が現れる、そんなシーンを瞼の裏に映し出すのだ。または、内気な性格なんてのも想像に難くない。どちらにしろ、本質的には寸分違わず臆病な性格に違いない。他者との関わりを能動的に絶つか受動的に絶つか、手段の違いでしかない。つまるところ、記憶を持たない彼にも性格はあると勝手ながら私は思う。
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