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けれど、この何気ない質問が私の心を揺さぶり、肯定するだけの簡単な動作に迷いが生じた。
「そ、そうよ。男の子みたいね。お医者さん曰く、絶対とは言い切れないとのことだけど」
迷いを振り切って肯定の言葉を口にした、これこそが私の手にした強がりだ。まず言えるのは、枕を濡らしていたさっきより少しでも事態は好転していること。泣いてばかりいるよりも、事実を事実として受け止められる方がきっと良い。私が悪魔になろうと世界を敵に回そうと、自分で招いた責任から逃げ出すよりはずっと良い。たとえ、それが強がりであったとしても。
「じゃあ、兄弟は?」と男の子は質問を続ける。
「このお腹の子の兄弟を訊ねているのよね。いいえ、いないわよ。この子が第一子。そういうあなたは兄弟いるの? それとも一人っ子かな?」
「えっと、一人っ子……です。でも、弟か妹が欲しかったな」
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