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 「そうよね。ところで、もう日も沈む頃だけど、こんな所にいていいの?」  時間を忘れるくらい私との会話に夢中になっていたのか、彼は慌て様にこの個室から出て行こうとする。出て行くその背中に「また機会があったら、訪ねてくれるかしら。私はあなたを必要としているのよ」と声を掛ける。彼は振り返ると大きく開いた手を私に向けて、それから颯爽と立ち去った。これが私と不思議な少年の、出会いの一幕だ。
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