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悲観めいた目をして、決意の様でどこか思い切ったどっち付かずの表情が、互いに不利益を被る何か不吉な予感を駆り立てた。締め忘れたカーテンは役割を何一つ果たせぬまま、窓外の赤く燃え滾る夕焼け空を一面に映し出していた。空気の循環の為に隙間を開けていた窓がヒューッと口笛を吹き、一流れの風が私の耳朶を撫でる、まるでそれは一音たりとも聞き逃すなとでも告げるように思えた。空気の流動は留まることを知らず、少年の前髪を静かに揺らす。宛ら告白のワンシーンの如く。もしそうならば、好意を受け取れない私は一つの先制として、ここで「なに、告白でもしてくれるの?」なんて冗談を言うみたいに戯けるのだろうか。  「多分ですけど……もうお姉さんに会えないかもしれません」  私はただ一言、「そう」と素っ気ない返事をするしかできなかった。予想はある意味で当たり、けれど此れっぽっちでさえ予想だにしない告白だった。
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