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自分がどこに立っているのかを、自分が誰なのかさえ見失ってしまう。すると、横たわる巨木を背に膝を抱えて眠る少年の姿があった。そこで私は自分が神様であると思い出すのだ。そして、少年は目を覚ます。
記憶を持たぬ奇異なる存在の彼にこれからどんな人生が待ち受けているのか、それを私は想像するだろう。そして、その心に描いた形こそが現実になる。心に思う形が世界に反映されるのか、世界がこの先こうなると自ずから識る私だからこそ、心に未来の形を映し出すのか。そして、私は記憶を持たぬ彼にこう話しかけた。
「お前はこの先、辛い人生を歩むだろう。だって、そうだろう。記憶を持たぬ存在、それは集団が忌み嫌う特別・特殊・特異に当て嵌まるのだから。さて、それを知ったお前はどんな選択をするのだろうか、興味が湧いた。辛い人生を決定付けられたお前は生を選ぶ、死を選ぶ?」
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