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死を選んだとすれば、瞬き一つの躊躇いもなく命を絶つことだろう。それは直接手を下したわけではないにしろ、人殺しと同じ様に思えてならない。では、生を選べば良いのだろうか。しかし、あまりの辛さに生に対する執着を打ち拉がれる未来が訪れたとしたら、あの時どうして死を選ばなかったのか、一重に切り捨てさえすれば痛みは最小限に抑えられたのに、と酷い後悔に苛まれるだろう。
「分からない、分からないのだ。ただ全てを識るだけの役立たずな神様でしかない私には何が正しいのか、どうすることが最善なのか、欠片も分からないのだ」
貴方に与えた役は記憶を持たないこの少年であったね。ここでようやく貴方の出番だ。さあ、取り乱す私を前に彼は何を言うのだろうか、それを教えてほしい。答えてくれないのなら、代わりに私が答えよう。これは私の強迫観念であるが、あれほどまでに無表情を貫いたその顔に一つの表情が現れる。その意味するところを熟語一つで表現するとすれば、そう『怨恨』である。
「お前を絶対に許さないからな……」
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