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それは突然だった。 新しい女の人が小さな私の前に現れたのは。 「あなたが亜津紗ちゃん。よろしくね。美津子って言います」 その人は長いウエーブした髪を少し垂らしたまま腰をかがませ、にっこり微笑んだ。 腕には真新しいネルのタオルで包まれた新生児を抱えて。 「あなたの弟よ。可愛がってあげてね」 あなた誰・・・ そんなこと突然言われたって・・・ 知らない人にそんなこと言われたって。 私は子供ながらに、いや子供だからこそ直観的に拒絶した。
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