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「涼くんは家でさみしくないの」 「昔はよく泣いたけどね。もうなれちゃったし。今部活があって結構忙しいから」 「へぇ。強いんだ。私だめ。いまでもママがくれたウサギのぬいぐるみ抱きしめて泣いちゃうんだ」 「今の母さんダメ?」 「ごめんなさい。ママが忘れられないの。私今でも覚えてるんだ。ママが病室で無言で横たわっている姿を」 「ごめんなさいね。涼君のお母さん、うちのパパが取っちゃって」 「なんで亜津紗が謝るんだ」 「ホントはね。あたしパパのこと恨んでるんだ。死んだママのこと忘れてすぐ再婚しちゃって」 「うちのパパだいたい薄情なの。普段でも仕事仕事でかまってくれないし。私一人なんだぁ」 「そっか。なら。おれんち遊びに来いよ。おれが相談相手になってやるよ。おれこうみえて料理できるんだぜ。家事もやるしな。オレ。父さん一人だから。手伝わないと。母さんの分まで・・・」 「私行く。ずっと行く。涼君となら。私をお嫁さんにして。そしたらひとりじゃないもの。二人・・・」
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