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「黒田、国谷、森……」
「森?森って三組の?あれもタイプなの?」
「いや、顔はイマイチだけど、あいつの家、金持ちだからさ」
「うわ、しっかりしてる。じゃあ私は、近藤、高村、三井…あと、内田!」
「あ、すみません。三井さんだけ私に譲ってください」
「私は二組の田中くん」
「オッケー、いいよー」
ウェイトレスたちの間で秘密裏の談合が繰り返される。
何の話かと言えば、気になる男子が来店した時の担当だ。
「福井さんは誰か気になる人いる?」
江村さんが、私に問いかけてきた。
「え……あの……サッカー部の……」
「安田でしょ?」
私の言葉を待たずに藤田さんがニヤッと笑って言った。
「いつも窓から見てるもんね。知ってるよ」
「あ……はい……」
「あいつも、けっこうかっこいいよねー。私も狙ってたんだけど、まぁここは
譲るよ」
「ありがとうございます」
かくして、裏の担当が決まり、私は憧れていた彼の担当ウェイトレスとなっ
た。
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