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結局。
その時、私が彼と話せたのはそこまでだった。
内気で根暗な私には、江村さんや藤田さんのような華もなければ積極性も社交
性もない。
結局、そのままで彼らは食事を楽しみ、会計へと向かって行った。
「ありがとうございました」
そんな一言すら恥ずかしくて言うこともできず。
「あ、ちょっと!」
会計を終えて出て行こうとする彼に、藤田さんが走り寄って何かを耳打ちし
た。
そっとメモを手渡すのが見えた。
そう言えば、藤田さんも彼を狙っているって言ってたっけ。
心なしか彼は少し嬉しそうな恥ずかしそうな顔をしていた。
私は、ギュッと唇を噛んだ。
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