第4話

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先程の場所に戻ると、あの絡んできた男性がさらに泥酔し、地べたに座り込んで眠っていた。野次馬のは皆近くのテーブルや店で飲み直している。朝から楽しげな声と強い酒の匂いが漂っている。 「確かに気配がするな。この先の路地に向かって気配が伸びている」 「…4人足りない」 ユールヒェンはきょろきょろと近くに居る飲兵衛達を眺めた。 先程の野次馬の中に居た21名。記憶にある顔と今飲み直している者の顔と見比べて、数えて、ぽつりと呟いた。 アレンに引かれて逃げてからここに戻るまで約20分程だろうか。その間に4人の酔っ払いが移動しているようである。 ユールヒェンは近くの人に声をかけた。 「あ、あの、さっきここに居た、桃色の巾着を被った女性、真っ赤な服を着た男性、緑の帽子をかぶっていた男性、それと、黄色のストールを巻いていた男性。誰でもいいです、どこに行ったか分かりませんか?」 ガタガタと震える手を必死に抑えながら、じっと酔っ払い達を見た。先程の銀髪の少女だとバレたらまたなじられるかもしれない。 アレンに貰った御守りに手を当てて、祈るように。 話しかけられた酔っ払い達はユールヒェンの顔をきちんと認識していなかったらしく、互いに顔を見比べて首を傾げた。 アレンが後ろから話しかける。 「ユール?何を聞いてるの?」 「さっきの人混みと今この近くにいる人、比べたら4人居ない人がいる。もしかしたら、なにか手がかりにならないかなって…」 「覚えているの!?そんな人、居たかどうか俺分からないよ!」 「?……覚えてるよ、全員の顔と服装」 すると、酔っ払い達が口々に答え始めた。 「そんなの知らねぇなぁ。なぁ、あんた分かるか?」「いや、覚えてねぇなぁ」「俺たち飲んでたからよォ」「あんまり記憶ねぇなぁ」 「あぁ、その4人なら俺分かるぜ」 後ろから、1人の男性が話しかけてくる。 随分飲んだだろう、大きな酒瓶を片手に、しかし確かな足取りでユールヒェンの元へやってきた。 酒の匂いがきついが、目はハッキリとユールヒェンを見ており、意識もしっかりと保てているようだ。 「俺は酒に強くてなぁ。お嬢ちゃんの言った4人なら、さっきまでそこのテーブルで飲んでて、その路地の方に向かったぜ。 あいつらすげぇ騒がしかったからよぉく覚えてる」 その言葉で、悪魔に呪われている者の候補がぐっと絞ることが出来た。その4人組が怪しい、全員がそう目星をつけた。
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