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〝天の川の髪色を持つ少女が、この村に災厄をも齎す〟
それは、とある村の占い師が約20年前に出したお告げ。
ここは、名もなき小さな村。
隣町とはアーチ型に出来た鉱山によって分断され、反対側は広大な海が広がっている。
潮の香りと森の木の温もりに囲まれた村の人口は僅か60人足らずで、隣の町との交流も最低限に遮断された環境では、村長が村の絶対的なルールだった。
村長が気に入った美しき占い師のお告げは、あっという間に広まった。その美貌と落ち着いた雰囲気、そして村長より寄せられた絶対的な信頼によって、占い師の言葉を疑う者は居なかった。天の川の様な、銀の髪を持つ少女。それは魔の象徴として、村の女が赤子を身篭る度に村の者は怯えた。
お告げより三年後。
銀の髪を持つ赤子は、この村に生まれてしまった。
村の全員がその赤子を忌み嫌い、「忌み子」「鬼の子」として蔑まれ、齢10になる頃には村の隅の放棄された地下室に追いやられた。幼い少女は毎日その身に余る重労働を強いられ、へとへとになるまでこき使われた。
村人の憎悪は日に日に増していき、彼女の味方は誰一人存在しなかった。
少女への憎悪と、悪意と、殺意に穢れた村。
目の前に広がる海は、背後に聳える山の向こうは、いったいどんな世界が広がっているのだろうか。
少女は願う。
いつかこの村を出て、自由に生きると。
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